いつもより早い時間帯に放送されていた大河ドラマ『真田丸』を見終わり一息ついていると、都知事の開票特報が始り、すぐに小池百合子氏の当確が報じられた。初の女性都知事の誕生である。
一晩明けて選挙結果をチェックするとかなり大差で小池氏が勝っていた。有力三候補の得票数は、ざっくり小池291万、増田179万、鳥越135万という結果だった。
自民党が保守分裂選挙を強いられる一方で、野党は統一候補に鳥越俊太郎を擁立することに成功し、野党にとって千載一遇の好機と思われた。しかし鳥越は小池、増田の両候補の後塵を拝するという無残な結果に終わった。
鳥越氏については「なんで野党統一候補がよりによって鳥越なんだよ!」という声が当初から聞かれた。案の定、選挙戦ではこの人は都知事の激務耐えられるのだろうかと心配される始末。さらに週刊誌にスキャンダルを報道されたときも対応もまずかった。公の場で堂々と反論するべきだろう。これなら宇都宮健児氏に統一した方が100倍マシだった。
一方、小池氏はいずれの政党の推薦を受けないことにより、かえって与野党支持層や無党派層から幅広く支持を獲得した。この状況をあらかじめ予想して自民党への推薦要請を取り下げたのだとすれば、恐るべき政治センスと言えよう。
これとは対照的に増田氏擁立を主導した党都連の石原伸晃会長の無能ぶりが際立った。ネットではノビテルと揶揄される世襲政治家で、安倍内閣の閣僚の一員でもある。選挙戦では、小池氏をボロカスに言っていたが、小池都政が誕生した後のことを少しでも考えていたのだろうか。この事態をどう収拾するつもりなのか訊いてみたい。
小池都政の当面の課題は、都政の混乱をいかに早く収拾して課題に取り組む体制を築くかという点であろう。東京五輪や少子高齢化対策などの課題に対し、国政と都政の連携は欠かせない。その意味で政権与党と小池都政の宥和は必然であろうが、党に反旗を翻した小池氏、そして増田氏を擁立して敗北を喫した石原氏、それぞれの責任問題をどう決着させるのかが注目される。
いずれにしても「ノビテルは政治的に詰んだ」と思われる。どう処遇されるのか見ものである。