退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『凶弾』(1982) / 石原良純のデビュー作

Huluで映画『凶弾』(1982年、監督:村川透)を鑑賞。石原慎太郎の次男、そして石原裕次郎の甥である石原良純のデビュー作である。いまでは俳優というより天気予報士、そしてテレビタレントとして見かけることが多いようだ。また本作は奥山和由の初プロデュース作品としても記憶されるだろう。

あの頃映画 「凶弾」 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
  • 発売日: 2011/12/21
  • メディア: DVD

この映画は、日本で戦後初の犯人狙撃・射殺によって人質を救出した事件である「瀬戸内シージャック事件」(1970年)に題材をとっている。そのため結末は犯人は最後には射殺されることに決っているため、エンディングに向けていかにストーリーを収斂させていくかが映画のカギのはずだ。にもかかわらず、終始、ご都合主義ででっち上げられたストーリーが痛々しい。青春群像劇に仕立てたかったのだろうが完全に失敗している。

脚本がダメなら配役もダメ。少年院仲間の英夫(石原良純)、昭彦(古尾谷雅人)、正一(山田辰夫)の3人が事件を起こすのだが、石原良純は育ちの良さが透けてみえて、とてもハイジャック事件を起こすようには見えないのが難点。外交官の祖父を持ち、良家の出身という取ってつけたような設定も説得力に欠ける。これなら古尾谷雅人がハイジャック犯人として暴れる姿を見たかったと思うのが人情。


凶弾

カーアクションなど見るべきシーンもあるが、映画として面白くない。客も正直なもので、裕次郎の甥のデビュー作として大いに喧伝された作品だったが興行成績は芳しくなく、公開から2週間で打ち切られたという。むべなるかな。