退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『丑三つの村』(1983) / 惨殺事件「津山三十人殺し」を題材に描いた異色作

YouTubeの「松竹シネマPLUSシアター」チャンネルで配信されていた映画『丑三つの村』(1983年、監督:田中登)を鑑賞。原作は西村望の同名ノンフィクション小説。1938年に実際に起きた津山事件を題材にしている。主演は古尾谷雅人

犬丸継男(古尾谷雅人)は、岡山の寒村に祖母と二人暮らしをする青年で、村一番の秀才として通っていた。しかし徴兵検査で継男は、肺結核と診断され不合格となり“出征の夢”が叶わなくなる。このことが村に知れ渡ると、村人たちは継男を役立たず、穀潰しと見下すようになる。村のコミュニティから孤立するようなった継男から、恋人のやすよ(田中美佐子)も離れていき、いよいよ精神的に追い詰められる。ついに村人たちへの復讐を決意するが……。


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日活ロマンポルノで鳴らした田中登監督がメガホンを取っただけあって、前半は池波志乃五月みどり田中美佐子ら助演女優たちの濡れ場が見どころになっている。とくに田中美佐子の体当たりの演技は必見。かわいい。どうせならコメットさんこと大場久美子も脱いでくれればカンペキだったかも……。

後半はもちろん大きなオープンセットを活かした殺戮シーンがメイン。猟銃と日本刀で武装して、懐中電灯を2つ頭に付けて鬼のような扮装で村人たちと次々に殺害していくシーンは目を覆いたくなるほど。鬼気迫るものがある。昔、どこかの名画座で見てビビった記憶がある。

ただし主人公の青年が追い詰められていくのはわかるが、そこから一気に大量殺戮に至るまでの動機が伝わってこない。説明不足ではないか。さらに80年代シンセサイザーを多用した劇伴がまったく合ってないのも演出上の難点だろう。

性描写も暴力描写も過激なエキセントリックな作品である。そのためYouTubeの基準に触れたのか、何とプレミアム配信中に本作がBANされた模様。誰かが通報したのだろうか。そのためチャットも途中までしか残っていない。真面目に作られた作品なのはまちがいないが、むべなるかな。

その後、松竹が交渉して無料公開が再開されたが、「いつ削除されるかわからないから、急いで見てください」という始末。11月19日まで無料公開されているので、興味のある方はぜひこの機会にご覧ください。昔の日本映画のスゴさを感じられるだろう。