退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

コミック「あさきゆめみし」読了

昨年秋から少しずつ読んでいた大和和紀のコミック『あさきゆめみし』(完全版:全10巻)を読み終えた。『源氏物語』を漫画化した作品で少女漫画の金字塔で、1973年から1993年にわたり連載された。

あさきゆめみし 1 完全版 (KCデラックス)

あさきゆめみし 1 完全版 (KCデラックス)

あさきゆめみし 10 完全版 (KCデラックス)

あさきゆめみし 10 完全版 (KCデラックス)

本書は、受験生時代から古文の導入としてまた古文常識を学ぶのに役立つとされていた。しかし当時はあまり興味を持てずにザセツしたが、おっさんになってようやく通読できた。

たしかに古典の著名作品を漫画にするという偉業は賞賛されるべきだが、漫画をテンポよくグングンと読んでいく爽快感は味わえない。それにはいくつか理由がある。

まず登場人物が多すぎる。これは漫画のせいばかりではないが、コミックでは顔が同じに見えて、これは誰なのか考えこんでしまう場面が少なくなかった。さらに人間関係というか男女関係が入り組んでいることも一因だろう。どうしても各巻の巻末に載っている「主要人物の系図」を参照しながら読み進めることになる。さらに中途半端にストーリーを知っているのもいけないのかもしれない。

加えて登場人物の心情を和歌で表現していることも理由のひとつだろう。一応和歌の現代訳が添えられているが、ついつい掛詞など細かいことを考えだすとなかなか進まない。和歌に含まれる情報量のすべてを漫画で表現するのは無理だと感じた。このあたりは漫画の限界なのかもしれない。

そうは言っても、第1巻と最終巻に載っていた作者のインタビューを読むと漫画家が大変な作業だったこともわかるし、作品からもエネルギーを感じることができたのも事実。少女漫画の古典としても一度は読んでおくべき作品だろう。

光源氏が死亡する第8巻(ここで「完」だったのでびっくりした)
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▼「宇治十帖」の終わりにして全編の最終巻
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