退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

衆院選挙制度の答申は実現されるのか?

14日、衆議院議長の諮問機関「衆議院選挙制度に関する調査会」(座長:佐々木毅東京大学学長)は、議員定数の10削減と小選挙区一票の格差を是正する新たな議席配分方式を柱とする答申を衆議院議長に提出した。

答申の内容および説明資料は下記の衆議院のサイトから参照できる。

衆議院における一票の格差については、最高裁判所から何度も「違憲状態」と断じていており、これ以上放置できない状態が続いている。そもそも「違憲状態」というのが実に分かりにくい。選挙制度違憲であるが選挙結果は無効にならないのだから、頭を抱えたくなる判決だ。

この答申では、選挙区議席配分は地域の人口に基づく「アダムズ方式」を採用し、10年ごとの大規模国勢調査で見直す。また中間年の簡易調査で、2倍以上の格差があれば、都道府県内で区割りを見直すことにより、一票の格差の是正を目指す。

この「アダムズ方式」が最善なのかは分からないが、恣意的な要素を除いて地域の人口を基に数学的計算により議員配分を行うというのはまったく正しい。ともかく議員の思惑ではなく議員定数の配分が行われることを制度として法制化してほしいものだ。議員が自らの身分に関わることに対し中立な判断などできるはずがないからだ。

ちなみに今回の答申の内容に平成22年の国勢調査の結果を当てはめて試算すると、小選挙区では下図のようになる。いかに首都圏の住民の一票の価値が損なわれているかがわかる。


衆議院選挙制度「アダムズ方式」による新たな議席配分(Source: 産経新聞 2016年1月15日付け)

この答申がそのまま受け入れられるかは不透明だが、今夏にはダブル選挙も取り沙汰されているのだから、速やかに答申の沿った立法措置がなされることが期待される。少なくとも答申に対する各党の対応は今後も注視していく必要があるだろう。