26日、NHK連続テレビ小説『まれ』(脚本:篠﨑絵里子)が最終回を迎えた。能登で育ったヒロイン・津村希(土屋太鳳)がパティシエールを目指して成長していく物語かと思いきや、修行中にキャリアをあっさり捨てて結婚するなど優柔不断というか目茶苦茶な展開のドラマになってしまいました。
ちょっと振り返ってみましょう。
夢追いかける父親(大泉洋)のせいで借金を背負い、夜逃げ同然で能登に移住した津村一家。ヒロインの希はそんな父を見て夢が嫌いになり、「地味にコツコツ」をモットーに地方公務員になる。
ところが、突然「やっぱり、世界一のパティシエなる」と一念発起。公務員を辞めて横浜の有名シェフの店で修行を始める。次第に才能を開花しシェフ(小日向文世)に認められスーシェフに昇格しフランスでの修行を勧められるまでになる。
ところが、そのフランス行きの話を蹴って、友だちの元カレの漆職人の圭太(山﨑賢人)と突然結婚して能登に戻り、女将として圭太を支えることにする。
それでもパティシエの夢を捨てられずに能登にケーキ屋を開店するが、妊娠してあえなく閉店。その後、双子を出産。女将とケーキ屋と子育ての3つを全部こなせるのか不安になるが、意外になんとかなってしまう。
ところが、その間、家族を守るため父親が失踪。
子育てが一段落した後、「そういえば世界一のパティシエになるんだった」と思い出し、長いブランクを顧みず大きなコンクールに出場するが、それほど世間は甘くなくあっさり敗退。
それでも「まあいいか、そういえば結婚してなかったよね」とばかり、家族や仲間たちと結婚式を挙行。失踪していた父親も戻ってきて大団円。
まあ、そんな話です。
まずヒロインのキャリアに対する姿勢がブレブレなのにイライラします。修行と途中で放り出すとは何事かと。どうせならフランスでロケを敢行し、修行中にフランス人男性と国際結婚ぐらいしてほしかった。
あと父親が途中で失踪してラストで戻ってくるのもご都合主義に過ぎる。大泉洋のスケジュールの都合だったのかな。失踪中の描写がまるでないのもどうかと……。
ただ、このドラマで目新しいこともあった。それは「デブでもヒロインが務まる」ということ。ヒロイン役の土屋太鳳が、ストレス太りなのかしれないがどんどんふくよかになっていったのは新鮮だった。最近の女優たちは痩せすぎなので、これぐらいが健康的でいいじゃないかと思った次第。ドラマとしてはグダグダだったが、最後まで見続けた理由は案外これだったかもしれない。
次作では朝ドラの王道を示してほしいものだ。