以前、ちばてつや『のたり松太郎』を小学館叢書で読んでいたら、途中までしか収録されずに失望したことを書いた。それでも最後まで読んでみたかったので、「ちばてつや全集」にあたってみた。ようやく、本編を最後まで読むことができた。全21巻。
- 作者: ちばてつや
- 出版社/メーカー: ホーム社
- 発売日: 1997/10
- メディア: コミック
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『のたり松太郎』は坂口松太郎が相撲部屋に入門し、一人前の力士に育つまでの成長譚を中心に力士たちの日常を描いた長編マンガ。本編では松太郎(荒駒)が、優勝決定戦で横綱を破り2度目の幕内優勝を遂げ、場所後に憧れの南令子先生と結婚するまでが描かれる。めでたしめでたし。本編の他、松太郎の結婚後や田中(駒田中)を取り上げたストーリーもあるが、こちらは未読。
このマンガの魅力は、主人公・松太郎の世間の常識から逸脱した型破りなキャラクターであろう。いわゆるクズなのだが、ろくに稽古しなくのに相撲は強い。これだけクズだと、大成する前に女や賭博でスキャンダルを起こしそうものだが、劇中では微妙な塩梅で破滅を回避しながら一人前の力士として大成する。
こうしたマイルドな作風が物足りない気もするが、刺激的なエピソードを盛りこまなくても王道の相撲パートが十分に面白いからよいのだろう。
そもそも、この時期に『のたり松太郎』を読み直そうと思ったのは、昨年、テレビ朝日で放送されたアニメアニメ『暴れん坊力士! ! 松太郎』がきっかけだった。こちらは原作の良さがかなりスポイルされていて残念だったが、原作を読み返そうと思わせてくれた功は大きい。
続きも読みたいのだが、書籍は絶版になっていてなかなか目にする機会がない。巨匠・ちばてつやの作品ぐらいはKindleなどの電子書籍で読める時代がきてほしい。
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