退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『CURE』(1997) / 黒沢清監督のサイコ・サスペンス

新文芸坐で『CURE』(1997年、監督:黒沢清)を鑑賞。《キネマ旬報創刊95周年「オールタイム・ベスト映画遺産 日本映画男優・女優100」刊行記念 日本映画史に輝く綺羅星たち・男優編》という企画のなかの一本。この本の8位だった役所広司の主演作から、本作と『 KAMIKAZE TAXI』(1995年)の2本立てだったが、なかなか渋いチョイス。

CURE キュア [DVD]

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首から胸にかけてX字型に切り裂かれる連続猟奇殺人事件を追及する刑事と、事件に関わる謎の男を描いたサイコ・サスペンス。役所広司は事件を捜査する刑事を演じる。難解で不条理な映画なので見る人を選ぶだろうが、黒沢清監督の代表作にして日本映画史にも残る作品であろう。

難点を言えば、元・医学生で催眠術を駆使して猟奇殺人を繰り返す間宮のキャスティングだろうか。サイコパスの役は誰が演じてもとても難しいのだろうが、萩原聖人はちょっと違うんじゃないかなと。どうも彼を話しただけで次々と催眠術にかかっていくという設定に説得力がない。いまの萩原が演じたらどうなるのか見てみたい気もする。

この映画ではノイズが効果的に使われているので、音響のよい映画館でみる価値はあるだろう。食わず嫌いの人も一度は見てほしい作品。気に入るかどうかは分かりませんが……。

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