退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『クリーピー 偽りの隣人』(2016) / 黒沢清監督による一般向けミステリー映画

Amazonプライム・ビデオで映画『クリーピー 偽りの隣人』(2016年、監督:黒沢清)を鑑賞。原作は前川裕の小説『クリーピー』。

クリーピー 偽りの隣人[DVD]

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  • 発売日: 2016/11/02
  • メディア: DVD

刑事の高倉(西島秀俊)は取調べ中にミスを犯し辞職した。その後、大学で犯罪心理学を教えることになった高倉は、6年前の一家失踪事件の分析を依頼される。一方、高倉は妻・康子(竹内結子)ともに新居に引っ越し、近所挨拶で出会った隣人の西野(香川照之)の異常な様子も気がかりだった。その後、刑事時代の後輩・野上(東出昌大)から、一家失踪事件で長女(川口春奈)だけが失踪を免れていたことを知るのだが……。


『クリーピー 偽りの隣人』予告編

黒沢清監督のホラー映画として捉えると、監督の作品に馴染んでいるファンにとっては随所に作家性が出ていてそれなりに楽しめる。しかし一般向けというか、ライト版というのか、大衆を狙ったのせいかいつもの爆発力はなく力強さに欠ける。

さらにミステリーなのに説明不足が目立ち、謎解きとして見ている観客は納得できなかったのではないか。その意味では大衆向けに撮るという試みはあまり上手くいってないように思えた。

この映画最大の見どころは香川照之の怪演だろう。登場した瞬間からいかにも「アブナイ人」である。しかし、たしかに幅広い演技をこれでもかと見せつけてスゴイのはまちがいないが、キャスティングに意外性がなく普通である。いっそのこと西島とキャスト入れ替えても面白かったのではないか。

他の出演者で印象の残ったのは竹内結子。ラストの絶叫シーンは圧巻。ホラー映画には欠かせない絶叫シーンだが、これほど見事に絶叫できる役者はそれほどいないだろう。この絶叫ももう見れないかと思うといかにも惜しい。