退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『太陽を盗んだ男』(1979)

飯田橋ギンレイホールで開催されていた《特別興行『名画座主義で行こう』 名画座ギンレイホール40周年特別企画 神楽坂映画祭》で、映画『太陽を盗んだ男』(1979年、監督:長谷川和彦)を鑑賞した。何度も観た映画だが久しく映画館で見る機会がなかったの見てきた。

中学校の理科教師(沢田研二)が、東海村原発から強奪したプルトニウムで原爆を手作りして政府を脅迫するという奇想天外なストーリー。後半のアクションシーンを含め、文句なしの娯楽映画に仕上がっている。劇伴がすばらしいことも付言しておきたい。

キャスティングも秀逸。まず主人公の理科教師を演じる沢田研二がすばらしい。そして彼を追う刑事役に菅原文太が、そしてヒロインのDJ役には20歳の池上季実子が配されている。

日本映画もやればできるじゃないかと思わせる作品だが、当時の興行成績は振るわなかったらしい。いまこそリメイクしてほしいところだが、福島原発事故以後、この類のテーマの映画はアウトだろうし、本作のような皇居や国会議事堂へのゲリラ撮影も現在でも到底無理だろう。この時代だからこそ撮れた映画であろう。


太陽を盗んだ男・予告編

この作品で「若手監督の旗手」と謳われた長谷川和彦監督だが、『太陽を盗んだ男』以降の映画監督作品はない。監督が寡作であるゆえに、本作品のカルト映画としての評価が固まったともいえる。

以前は幻のカルト映画で名画座での上映を待つばかりだったが、いまではソフト化されているので簡単に見られる。未見の人はぜひ見てほしい。

余談。今回のギンレイホール40周年特別企画では入れ替え制だった。入場を待つ人がロビーからあふれ、地下鉄入口近くのスペースで待つ始末。しかし劇場内は満席というわけではなかった。映画館はある程度ロビーが広くないとダメだなと思った次第。まあ映画が始まれば関係ないことだが。
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