タイトルから壮絶な闘病記かと思って読み始めましたが、「残りの人生を楽しく過ごそう」というメッセージにあふれていて林葉さんの人柄が感じられようです。重篤な肝硬変と向き合いながらの療養生活はきっと過酷なものだと思いますが、本書では飄々とした筆致です。
人生の残りが見えないと見えない風景というものがあるのだろうと思いますが、そうでない人にとっても日々の生活で大切にすべきことを考える契機になる1冊です。筆者は破天荒な人生を歩んでいるので、そのまま読者の人生に当てはめることはできないでしょうが、参考になることは多いです。
また回顧録として女流棋士として活躍していた頃のエピソードも興味深い。大山名人とのエピソードや、スナックで酒を飲まされながら将棋を指した話などが面白いです。
タイトルからわかるように食べ物の話題が多いですが、極端な食事制限を受けているようで辛そうです。翻って自分の不摂生な食生活を省みると、過度な飲酒からは足を洗いましたが、もう少し食事に気を配らなければと反省しました。いつまでも食事を楽しめる体でいたいものです。
冒頭に林葉さんの写真が何枚か載っています。利発そうな少女時代の写真に感心しながらページをめくると、おっと、ヌード写真が目に飛び込んでびっくり。電車で読むときは注意してください。
それにしても、先日読んだ八木亜希子さんの『その気持ちを伝えるために』との違いは感慨深い。ほぼ同世代の二人。まさに人生いろいろ。