深夜、NHKで放送していたラストデイズ「勝新太郎×オダギリジョー」を偶然見た。うとうとしながらテレビを見ていたが目が醒めた。
このシリーズは同じ志を持つ者が、時代を駆け抜けた偉人の足跡をたどるという企画であるらしい。なぜカツシンの足跡をたどるのがオダギリジョーなのだろうと思ったが、まあそれは措いておく。
勝新太郎といえば、1年ぐらい前にシネマヴェーラ渋谷で「特集 勝新太郎 ~蘇るカツシン伝説~」という企画上映があり、テレビドラマ『警視-K』、『迷走地図』、『新座頭市物語 折れた杖』などを見た記憶がある。それに合わせて、春日太一『天才 勝新太郎』とう新書も読んだ。すばらしい評伝だった。
今回の番組の内容は、その評伝が網羅していた域を出てないようだが、やはり映像の力は絶大である。当時売り出し中の原田美枝子をゲストに迎えた「新・座頭市」の中の一本「冬の海」や「座頭市」の最終回(第100回)の映像を見ることができたのは実によかった。さらに黒澤明監督と並んで、宴会に出席する勝新太郎の映像も貴重。映画『影武者』の主演に起用されるも、演出を巡る意見のちがいのため降板したことはよく知られいる。当時、既に黒澤明監督の演出が硬直化していたのだろうか。そのまま勝新太郎が信玄役を演じていたら、どんな映画になっていたかと思うと興味は尽きない。
NHKはなにげに高品質の番組を繰り出すので侮れない。公共放送としてのNHKのあり方には疑義があるが、番組の質ははまた別の話と言っておこう。