退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『凶悪』(2013)

新文芸坐で映画『凶悪』(2013年、白石和彌監督)を観た。「画になる悪、洋・邦の悪い奴対決!!」という企画上映で併映はリドリー・スコットの『悪の法則』だった。

獄中の死刑囚が告発した殺人事件の真相を雑誌社の記者が暴き、首謀者の逮捕に至るまでを描いた社会派サスペンス映画。

話は面白いし主要キャストも申し分ないのだが、なぜか心に響くものがない。映画全体がとっちらかっている印象を受ける。リメイクされたらもう一度見てみたいと早くも思うほどだ。

ピエール瀧リリー・フランキーの凶行ぶりは、園子温監督の『冷たい熱帯魚』を彷彿させるが、どうもその手の映画を作りたかったのかと思えるフシがある。犯罪者の出すオーラを捉えたかったのではないか。

その一方で、雑誌記者(山田孝之)が事件の真相を解明していくという構造になっているため、記者の家族の事情を中途半端に挿入して、全体としてはとっ散らかってしまった。雑誌記者は狂言回しでよかったのではないか。

せっかく記者の奥さんを池脇千鶴様が演じているというのに、影がうすくて残念だ。もう一度ガラガラポンして作り直してほしい。

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  • 発売日: 2014/04/02
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映画『凶悪』予告編 - YouTube