退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ジョゼと虎と魚たち』(2003) / 池脇千鶴の大阪弁がいい

DVDで映画『ジョゼと虎と魚たち』(2003年、監督:犬童一心)を鑑賞。原作は田辺聖子の短編小説。主演の妻夫木聡池脇千鶴。アニメ化されたという知らせを聞いて、あらためて実写版を見直してみた。私が好きな映画のひとつ。

ジョゼと虎と魚たち [DVD]

ジョゼと虎と魚たち [DVD]

  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: DVD

生まれつき足の不自由なジョゼ(池脇千鶴)と平凡な大学生・恒夫(妻夫木聡)との切ない恋の行方を描くラブストーリー。


『ジョゼと虎と魚たち』劇場予告編

障碍者と健常者とのラブストーリーはよく使われる手管ではあるが、この映画はイヤミを少しも感じさせないのは手柄であろう。

二人の出会いのシーンのインパクトが強烈。坂の上から乳母車が猛スピードで下ってくる。ガードレールにぶつかり止まった、その乳母車には若い女性が包丁を持って乗っていた……。

その後、親密になったふたりは付き合うようになる。タイトルにある(檻の中の)虎や(ラブホテルの幻灯絵の)魚はふたりのデートシーンに登場するモチーフである。ちょっといい題名だ。

しかしふたりの仲はあっさり破局を迎え、恒夫は性格の悪い女性(上野樹里)を選ぶ。「なんだかなぁ~」という物語の結末だが、ラストの電動車いすに乗るジョゼの姿に仄かな希望が見えた。

出演者の池脇千鶴大阪弁が素晴らしい。ネイティブにどのように響くのはわからないが、私にはとても響きが美しく感じた。これだけでも映画を見る価値がある。妻夫木とのベッドシーンもきれいに撮れていることも付言したい。

余談。アニメ版は未見だが、さまざまな制限のあるアニメ版では実写版のような深みを出すのは難しいように思える。どのような演出なのか興味のあるところ。いずれ見てみたい。


アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』ロングPV