少し前に、新文芸坐で映画『悪の法則』(2013年、リドリー・スコット監督)を観た。併映は山田孝之主演の『凶悪』で「画になる悪、洋・邦の悪い奴対決!!」という2本立てだった。
原題の"The Counselor"は「弁護士」のこと。有能な弁護士がほんの出来心で裏社会の麻薬ビジネスに関わったことから始まる悲劇を描くクライム・サスペンス。主役の弁護士はマイケル・ファスベンダーが演じている。そのうち007でジェームス・ボンドを演ってもいいような雰囲気。
鑑賞後の感想は、正直言うと「ついて行けない」「わかりにくいよ」といったところ。これだけ豪華な才能を集めてコレですか。爽快な後味は期待できないにしろ、もう少し娯楽性を加えることはできなかったか。監督は、テキサスにチーターを放ったり、キャメロン・ディアスをフェラーリーとアレさせたりしただけだったのかねぇ。
プロットがわかりにくい原因は、肝心のブツがいまどこにあるのかよく分からないからかも。脚本で時系列の整理がついてない印象を受ける。
強いて見どころと言えば、この映画は人がどんどん死んでいくが、それぞれの殺され方だろう。まず予告編にもある道にワイヤーを張って、ライダーの首を刎ねるシーン。そして、冒頭セリフにだけ登場する「ボリート」という殺人道具で、終盤、殺されるブラッド・ピットは映像として興味深い。
この映画はハリウッド版『アウトレイジ』というとあんまりかもしれないが、まあ大差ない。後世の評論家たちがこの映画を再評価することがあれば、自分の当時の鑑賞眼が未熟だったと反省するしかない。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2014/04/02
- メディア: DVD