溜まっていたタイム誌を消化中。タイム誌(2013年12月3日号)のカバーストーリーは「中国の一人っ子政策」でした。
ざっくりまとめると、中国は貧困から抜け出すために1979年から「一人っ子政策」(one-child policy)を導入したものの、その結果、人口動態に歪みが生じ、これからの中国やばいじゃね、という話です。
この政策の下では認められた以上に子どもを持つと高額な罰金を課されたり、地域によっては女性は妊娠したか調べるため定期検査を受けることを要求され、必要以上の妊娠が確認されると堕胎を事実上強制されたりしているとのこと。西側の基準では人権無視ですが、まあ中国ですから……。
こうした強権的な措置のおかげで一人っ子政策は十分に機能し、経済的には驚異的な成長を遂げましたが、その反面さまざまな問題を引き起こしています。
1番目の労働人口の減少は労働コストの増大につながり、労働集約的に経営してきた「世界の工場」の役割を果たせなくなってきています。人件コストの低い国に生産拠点を移す企業もあります。
2番目の少子高齢化は日本にとっても深刻な問題ですが、この記事では次のように書いています。
One in three Chinese will be older than 60 by 2050 – a 430 million strong cohort. Japan has the same problem, but Japan is far richer than China, and its elderly can expect subsidized, high-quality medical services and caregiving. China has shattered its cradel-to-grave government support.
「日本は裕福だから高齢者に十分な福祉を提供できるよね!」ということですが、日本人からすれば「せやろか」と言いたくなりますね。中国に比べれば状況はまだマシということでしょうか。
3番目の男女比不均衡は、中国は伝統的に女子より男子が尊ばれているため生じています。超音波診断を利用して男子だけを選択的にに産み分けることもある。さらに農村部では女子(や障がい児)が産まれると殺したり、捨てたりすることあったらしい。めちゃめちゃです。その結果、中国の15歳未満の男女比は118:100となり、1800万人も男が多いのが現状です。
また皮肉なことに、豊かになった高学歴の都市生活者は2人目の子どもを持つ資格があるのにもかかわらず、子どもは1人で十分だという人が多いとのこと。小皇帝の誕生です。
中国の一人っ子政策は史上最大規模の社会実験であり、上のようなさまざまな問題が明らかになっていますが修正するには既に遅すぎる(too late)とのこと。中国の専門家ですら「この政策は失敗」だと認めていますが、中国の経済的成功に倣おうとアジアやアフリカの諸国がこの政策を学びに中国を訪れているという。困ったものです。やれやれ。