宇野常寛らの手によるサブカル系「あまちゃん」批評本です。究極の「あまちゃん本」というものの非公式なのでホンモノの「あまちゃん」の写真などはありません。
手にとって驚いたのはずっしり重いこと。展覧会の図録のような仕上がりで存在感があります。そして「え、表紙だれ?」と思いましたが、天野アキの母親・春子の高校時代を演じた有村架純でした。巻頭のグラビア・インタビューも飾ってます。いい企画ですが、やっぱり表紙は能年玲奈でしょ、と思わずにはいられません。大人の事情なのか意図的にはずしたのか……。いちばん印象的だったのは 富野由悠季の寄稿「非あまちゃんファンになった」。ガンダム御大による「あまちゃん」の採点はなんと辛口の100点満点中20点。ドラマ後半が気に入らなかった様子でしたが、私も東京編は「ちょっと…」と思っていたのでまあ分かる気もします。
また「"生ゴミ"先生が初めて語る不器用天才・能年玲奈の素顔」という滝沢充子へのインタビューは能年の知られざる一面がよく出ていて新鮮でした。やっぱり頭角を現す人はひと味ちがいます。貴重なインタビュー記事です。
他にもロケ地探訪や、豪華イラストレーター多数が描く「あまちゃん」人物陳列室などが楽しいです。とくにイラスト好きな人はうれしいでしょう。
しかし最も面白かったのは、この本の痛烈なアマゾンレビュー。
- あま写真が一切なく、誰だかわからない偽物のあま写真を掲載したり、つくづく期待外れだった。
- 書き手の偏った主観や自己満足に満ちた内容に騙された思いしか沸かず、読後はすぐに古紙回収に廻しました。
- なんじゃこりゃ?な意味不明の写真とイラスト、自己満足の暴走雑感記事ばかりで本当にガッカリです。
- 鬱屈、軋轢、乖離、辛辣、蠱惑的…などなど、読めない漢字がたくさん出てきてふりがながなくて残念。
最近は書店で手に取らないでポチる人も多いのでしょうか。レビューがウケる。カルチャー批評誌「PLANETS」と謳ってるし、宇野常寛や中森明夫の名前から察してあげましょう。