- 作者: 与謝野馨
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/01
- メディア: 新書
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政府自民党与党の中枢にいて要職を歴任してきた筆者の回顧録としては、読みごたえがある。さらに政界随一といわれる政策通であることも紙面から納得できるが、結局は国民の支持を失ってしまったことについての反省があまり感じられない。
この本には、福祉は「自助」「共助」「公助」により構成されるとあった。最近のバラマキを見るにつけ、このなかの「公助」だけが注目されているが、自助、共助をどのように充実させていくかがポイントのように思われる。その意味では、与謝野氏が関わっていた「安心社会実現会議」は参考になることが多い。
さらに「高福祉・低負担はありえない」というのにも同意する。耳障りな話を避けてばかりいると、ギリシャの二の舞になるのではないかと心配になる。
この本の刊行後、筆者は自民党を離党して新党「たちあがれ日本」を結党して、夏の参院選に臨もうとしている。イギリスの政権交代で若い世代がリーダーシップをとるのを見ると、この政党はどうなのよとは思うし、若い世代が誰も参加していないのは、人材育成は考えていなかったか疑ってしまう。政策の賛否よりも、そうしたことにより、これまでの実績に水を差しているようにすら思える。人望がないのか。