今ウェブは退化中ですが、何か? クリック無間地獄に落ちた人々 (講談社BIZ)
- 作者:中川 淳一郎
- 発売日: 2009/12/18
- メディア: 単行本
前著『ウェブはバカと暇人のもの』が面白かったので、この本も読んでみた。相変わらずのアグレッシブな物言いが小気味よい。
これだけインターネットの普及が進めば、全体として利用者の質が低下するのも仕方ないのかもしれないが、多様な事例を紹介しながらネットの負の側面を明らかにしようとする試みは成功しているように思われる。
それにしても「ネット中毒者」なる人たちは、どこに生息して、どんな生活を送っているのだろういるのだろう。まあネットに向かうととたんに人格が変貌する可能性は否定できないが、まず自分の周りにはいないようなタイプの人たちだ。
次回作ではネット中毒者のリアル社会での実像を暴き出して、厳しい批判を加えるような本も書いてほしいものだ。
この本の終盤では、筆者の母校の一橋大学でのキャンパスでの出来事から始まり、筆者のリアルを開陳しながら、自分はいかにリア充であるかを示すのに紙面を割いて、あくまでもリアルが主でありネットは従であることを力説している。ネット中毒者にとっては痛烈な一撃であろう。気の毒なくらい。
この本によればネット中毒者は本をロクに読まないし、長文を理解する能力にも欠けるらしいので、そうした心配は無用なのかもしれないが。
まあ、ネットには深入りせずに、機能ベースで捉え、役に立つツールとして利用するのにとどめておくのがよさそうだ。そもそも、それほど暇もないわけだし。
あと筆者の得意分野なのだろうが、p.167あたりから、「ネットでウケるための方法」「良いコメントをもらうための8つの条件」「PVを稼ぐためのテクニック」「PVを稼ごうとするときの注意点」といった、ノウハウを開示しているので、PVが気になる人は目を通してみるといいかもしれない。