- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本
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非常に面白く読んだ。ミクシィ、2ちゃんねる、ウィニー、ニコニコ動画、ケータイ小説、初音ミクなど、日本独自の進化を遂げたインターネットサービスを生態系と捉え、社会学的アプローチで日本を分析する。
ローレンス・レッシグが唱えた「アーキテクチャ」を援用しながら、ネット上のソーシャルウェアは、設計思想、匿名性の許容度などにより、ユーザの行動を無意識に制御/規制することとができるという。つまりユーザはネットを自由に利用しているようで、実はアーキテクチャにより支配されているという。
さらに、次々と登場するソーシャルウェアを「生態系」(pp.28-29の図を参照)と捉え、誰かの意思による進歩ではなく進化であるとし、互いに影響を与えながら偶然に今の構造が選ばれているにすぎないと論ずる。
アメリカかぶれのネット楽観主義者たちとは一線を画する足が地に着いた現実的な分析は興味深いし、日本論としても読み応えがある。
余談だが、この本を読んでいるときに、ちょうどニコ生に筆者が主演しているのを見かけた。ネット上の言説は眺めていたが、実際どんな人なのだろうと思っていたのでタイミングが良すぎて驚いた。風貌もインパクトがあった。