シネマヴェーラ渋谷で「唐獅子株式会社」(1983年、曾根中生)を観る。小林信彦の同名小説の映画化。
組長(丹波哲郎)の命令で新人歌手(甲斐智枝美)売り出しに狂奔するやくざの姿を描く。まず、主演・横山やすしの勇姿が映画フィルムに残されていることに感激する。他のキャストも丹波哲郎のコミカルな演技、、桑名正博のカッコよさ、甲斐智枝美のアイドル歌唱など見所が多く、当時を回想しながらなかなか楽しめた。コメディとしてもっと評価されてもよい作品。
ただ往時を知らないと楽しめないネタもある。例えば、横山がモータボートを使ったアクションを披露するが、競艇に熱中していたことを知らないと、何のことかわからないだろう。観客を選ぶ映画かもしれない。
すべてが懐かしいのだが、とくに甲斐智枝美がスクリーンで見れたことは感無量。同期に強力なライバルが多く、アイドル歌手としては大成したとは言えないが、それでも女優・タレントで活躍していたことを思い出す。帰宅してiTunesのライブラリにあったデビュー曲「スタア」を聞いて感傷にふけった。