新宿バルト9で開催中の「東映時代劇まつり」で「十一人の侍」(1967年、工藤栄一)を観る。
暴虐なバカ殿の暗殺を企てる集団時代劇という括りでは、最近リメークされることが決まった「十三人の刺客」(1963年、工藤栄一)が想起される。当初、この映画は「十三人の刺客」のための習作かと思ったが、本作の方が後年に製作されたことが、後で分かり意外に思った。後出しなのに明らかに見劣りがする。
待ち伏せの場面で遠方から騎馬が登場する場面など、映像的に見るべきところもあるが、いかんせん人物描写が物足りない。十一人の侍というのに、各人のキャラが立ってないのは惜しい。主役級の里見浩太郎や西村晃ですらかなり薄い。唯一、夏八木勲の妻を演じて自害する宮園純子は印象に残る。
見せ場であるはずのラストの殺陣が迫力に欠けるのも残念。結局、夏八木らは志を遂げることができ、幕府は相続を認めてお家安泰となるが、これをテロップ一枚で済ましていいものか、という疑問も残った。