連休中、シネマスクエアとうきゅうで『ICHI』(2008年、監督:曽利文彦)を観た。一人旅を続ける瞽女(ごぜ、三味線を弾き、唄を歌いなどして銭を乞う盲目の女)の市は、美しい容姿からは想像できない居合いの達人だったという、女座頭市ともいうような話。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2009/04/03
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市を演じた綾瀬はるかは雰囲気が出ていたし、殺陣も美しくて想像以上によかった。『あずみ』の上戸彩より10倍はいい。ただスローモーションを多用する演出はやりすぎか。普通に観たかった。
ただし、肝心の映画は凡庸。綾瀬はるか、大沢たかお、中村獅童のそれぞれが背負った過去が衝突するというのかストーリーの軸のはずだが、その過去が十分に描けていないため、全体としては平板な印象と受ける。また、窪塚洋介と柄本明の親子関係の描写も不十分でまったく伝わらない。今回の窪塚はちょっとよかっただけに残念。
そもそも市が絶対的に強くないのが不満。最後には修羅のような強さを見せてほしかった。予告編にあった「何斬るかわかんないよ… 見えないんだからさ…」という決めゼリフにシビレタけれど、本編では冒頭近くに、市の体目当てに近づいてきた男を居合い一閃で追い払ったあとに、このセリフを呟く…。でもいったい誰に向かって。独り言かよ。ナルシシストなの? やはり悪党どもに向かって啖呵をきるべき。
あと映画だから放送コード関係ないのだから、「盲目」と言わずに「めくら」という語を使ってほしかったな。やっぱり差別用語の扱いは難しいのかな。米国の映画だと、テレビドラマでは使わない語が使われて、表現が豊かになるのだが。
この映画が興業的に成功するかわからないけど、ぜひ新しいスタッフで綾瀬はるかの「市」の続編を見てみたいものだ。
それにしても綾瀬はるかが、ここまでブレイクするとは…。少し前は巨乳グラビアアイドルで消えていくかと思ったのに。ほんとうによかった。