退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

三浦展『下流大学が日本を滅ぼす!』

「語りおろし」ということもあり、カジュアルというかエラソーな文体なので、読み始めて不愉快になる人もいるのではないでしょうか。面白可笑しく読めるというメリットはあるしても、全体としては損していると感じました。品がないんですね。

ただ言いたいことは、大筋で的を射ていると思います。この本で匿名の大学教員たちが指摘するように、「大学生の学力・モチベーションの低下」は、きっと事実なのでしょう。ただ居酒屋談義の域に留まっているのは残念です。もっと議論を発展させてほしかった。あとがきで「実証研究ではないし、学問的論文でもないので、裏付けが不足していたり、推論や伝聞が多かったりする」と言っているけど、それで免罪にならないでしょう。こうした問題は、もっと精緻で慎重な議論が必要なはずです。

最後の提言のなかで、「大学入学資格試験の導入」がありますが、これは一考の価値があると思います。とにかく大学と名が付く場所が多すぎて、人的資源という意味からも効率が悪すぎます。もっと選抜をしっかりして、国家戦略として、リソースを優秀な学生の集中的に投下するべきでしょう。

この前、某大学の公開講座で、生徒が英語でエッセイを書いてきて講師がコメントするという形式のクラスを受講しました。その中に、分子生物学を専攻するという女子大生が、”teach”の過去形を”teached”と本気で言っているのも見て、これが「ゆとり」なのかと驚きました。やはり「バカは大学に行くな」ということでしょう。学制改革を含む、一定のフィルタリングが必要な時期にきています。みんなうすうす気付いていると思うのだけど。

下流大学が日本を滅ぼす! (ベスト新書)

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