ハワイ大学教授の著者が、サバティカルで滞在していたニューヨークで始めたオンライン・デーティングで知り合った男性とつきあった自身の経験を赤裸々に綴っている。
こうした体験を通して現代アメリカの実相を描くことを主眼であるとしている。たしかに「ユダヤ系アメリカ人」「アメリカでの軍の占める位置」「同性愛者のアイデンティティ」「ニューヨークとハワイの地域差」などのトピックは一読の価値があり、興味深くよんだ。とくに「同性愛者」については、紙面を割いてあり筆者の思い入れが感じられる。
ドット・コム・ラヴァーズ―ネットで出会うアメリカの女と男 (中公新書)
- 作者: 吉原真里
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/06
- メディア: 新書
- 購入: 6人 クリック: 45回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
ただ、体験談のなかに性行為が何度も出てくるが、その描写が淡白で物足りない。そこにこそ読者の関心があると思うのだが。ま、中公新書だし仕方ないか。しかし、ここまで赤裸々な体験を公開すると、日本でアカポスを獲得するのは難しいのではと思ったが…。ぜひ、日米の大学教員生活の比較というのも読んでみたいものだ。
で、下世話で申し訳ないが、気になるのは筆者の容姿である。サーチしてみると、あっさりハワイ大学の教職員紹介のページで写真を見つけることができた。この本で、メガネを慎重に選んでいるとあったので、「メガネ萌え」を期待したが、メガネはかけていない…。さらにサーチすると、メガネのかけたお姿も見つけることができたので、興味のある人はどうぞ。
この体験談の設定は大変ユニークなので、ぜひ映像化してほしい。もちろん全編英語で。インテリ英語を自然に話せるかわからないが、個人的な趣味で「純名りさ」を主演に推薦しておく。
(余談) 読後、『新潮45 2008年 09月号 [雑誌]』で小谷野敦「出会い系サイト放浪記」という体験談を見つけた(詳細はこちら)。インテリ層のネット・デーティングという点では、本書と共通するのだが、「男」の場合は、どうしても成田アキラ的になってしまうと思えるのは、思考が硬直しているせいだろうか。