退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】大貫 真之介『私がグループアイドルだった時 僕の取材ノート2010-2020』(双葉社、2023年)

本書はフリーライターである著者が、現在はグループアイドルを卒業した13人にインタビュー記事をまとめた書籍。10年代のややマイナーなグループアイドルが主な取材対象。

登場するのは次の人たち。「なんでオレの推しがいないんだ」と怒るムキもあろうが、こんな感じのラインナップである。

秦佐和子SKE48/2009~2013年在籍)
遠藤舞アイドリング!!!/2006~2014年在籍)
槙田紗子PASSPO☆/2009~2015年在籍)
レナ(バニラビーンズ/2007~2018年在籍)
小池唯(Tomato n' Pine/2009~2012年在籍)
高橋麻里(Dorothy Little Happy/2010~2018年在籍)
荻野可鈴(夢みるアドレセンス/2012~2019年在籍)
武藤彩未さくら学院/2010~2012年在籍)
カミヤサキ(BiS〈第一期〉/2013~2014年在籍)
南端まいな(アイドルネッサンス/2014~2018年在籍)
広瀬晏夕(東京パフォーマンスドール/2013~2018年在籍)
斉藤優里乃木坂46/2011~2019年在籍)
今泉佑唯欅坂46/2015~2018年在籍)

私は、とくにトップバッターの秦佐和子のパートを読むために手に取った。取材日は2022年夏とあったが、それがきちんと書いてあるのはよい。当然、先日発表された結婚についての言及はない。まあ結婚で人気がどうこうという歳ではないだろうが衝撃だったなぁ(遠い目)……。

秦さんのインタビュー内容には知ってることも多かったが、本人からアイドル時代のことを中心に網羅的に語られているのは貴重。最後に声優業について、趣味ではなく社会人としてきちんとやっていきたい、という趣旨のことを語っていたのが印象的だった。あいかわずの優等生ぶりが懐かしい。しっかりしてるなぁ。

さてここで本書全体のことに戻るが人選にはちょっと不満がある。「アイドリング!!!遠藤舞なんだ。リーダーだから仕方ないけど。やっぱり外岡えりかじゃないか!」とか、「℃-uteはないんかい。事務所的にNGなのか。岡井千聖に取材してほしかったが引退しているからな。だったら鈴木愛理に取材に行けよ!」とか、勝手なことをつぶやいてしまう。

パラパラ読んでいると、「人生いろいろだなぁ」と思ってしまう。10年代に活躍したグループアイドルに熱中していた人には刺さる本ではないか。惜しむらくは各人のアイドル時代の写真を載ってないこと。権利処理が大変なのは想像に難くないが、そこは頑張ってほしかった。