新文芸坐の《追悼 石井隆 堕ちゆく者たちの美学》という石井隆監督の追悼上映で映画『GONIN2』(1996年)を鑑賞。前作『GONIN』(1995年)の続編ではない。前作は男の映画だったが、本作は女性を主人公にしたバイオレンス・アクション作品。『GONIN』との2本立てだった。
町工場の経営者・外山(緒形拳)は、暴力団から執拗に借金の取り立てを受けていた。ある日、妻(多岐川裕美)が暴力団たちに強姦されて自殺してしまい、外山は復讐鬼と化す。一方、新宿の宝石店に偶然居合わせた4人の女たち(余貴美子、大竹しのぶ、西山由海、夏川結衣)は、宝石強盗に遭遇する。宝石店の店員のちひろ(喜多嶋舞)を加えた5人は強盗を撃退して宝石を手にして逃走するが……。
女性が主人公ということでアクションが弱いとう難点は、緒形拳を投入してカバーしていている。手製の日本刀を武器に迫力満点のアクションを見せてくれる。
暴力団事務所を襲撃して、カネを強奪したあとに、生前妻が欲しがっていたキャッツアイを求めて宝石店を訪れるて女たちと合流するのは、いかにも「ご都合主義」がすぎるとは思うが、まあいいだろう。
女性がメインとなれば、正直見どころは「脱ぎ」だ。まず女学生時代に強姦されたトラウマを持つ夏川結衣がちょっとだけバストを見せてくれる。また5人のリーダー的キャラの余貴美子は脱いでないもののグラマラスな下着姿を披露している。これはレア。そして極めつけは、敵に捕まる喜多嶋舞の体当たりの熱演。これは男なら必見。このシーンだけでも映画を撮った甲斐があるというもの。
あと見どころは、セーラー服姿のおばさん売春婦を演じた大竹しのぶ。これが女優魂かと思ったがすごいものを見た。スクリーンで何を見せられているのかと思ったよ。
女性版『GONIN』という着想は面白いが、前作に比べるとイマイチ。アクション映画としては女たちを束にしても迫力がない。女性特有ドロドロした関係にフォーカスしたストーリーのほうがよかったかもしれない。