退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ファンシイダンス』(1989) / 周防正行監督初の一般映画

周防正行監督初の一般向け映画『ファンシイダンス』(1989年)を鑑賞。原作は岡野玲子による少女漫画。本木雅弘の初主演作でもある。大映映画。

シティボーイを気取っていた塩野陽平(本木雅弘)は、実家の寺を継ぐために禅寺に入って修行することになり、山奥の禅寺にやってくる。そこには弟の郁生(大沢健)、逆玉狙いの英峻(彦麿呂)ら修行僧の仲間がいた。テキトーに1年間過ごせばいいだろうという目論見は見事にはずれ、古参の光輝(竹中直人)のシゴキにあったり、俗世に残してきた恋人・真朱(鈴木保奈美)への心残りに悩みながら修行の日々が続く……。


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漫画原作のアイドル映画ということで期待せずに見たが存外面白い。笑える映画である。一般人にはまったく知られていない禅寺という独特の世界を巧みに描いていてセンスが感じられる。関係者から見ると茶化しているように見えるかもという懸念もあるが、エンターテイメントなのだからこれぐらいはいいだろう。

シブがき隊の本木雅弘は本作が初主演作。俳優が本当に剃髪することが、周防監督が本作を引き受ける条件だったとも聞くが、冒頭シーンで半分だけ頭を剃った本木もすごい。本木はその後俳優として成功することを思うと、この映画で初主演を果たしたのはラッキーだったと言えるだろう。

出演者の顔ぶれをみると、大学相撲をテーマにした『シコふんじゃった。』(1991年)の習作のように見えてしまうのはやむを得ないところか。