退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『大巨獣ガッパ』(1967) / 日活による最初で最後の怪獣映画

DVDで映画『大巨獣ガッパ』(1967年、監督:野口晴康)を鑑賞。昭和40年代前半の怪獣ブームに便乗して、日活が製作した最初で最後の怪獣映画。

南方の生物採集のためオベリスク島に上陸した探検隊は、先住民から伝説の怪獣・ガッパの存在を伝えられる。火山下の大洞窟でガッパの子どもを発見し、日本に連れ去ってしまう。子どもを奪われたと知った雄雌2頭のガッパは、我が子を折って日本に迫る……。


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久しぶりに見たが、DVDに収録されていた映像が鮮やかだったことに驚いた。色彩設計が大胆ことに加えて、ソフトパッケージ化に際してエンジニアたちがまっとうに仕事していることがわかる。

子ども向けなのか、ガッパが善良な怪獣という設定で怖くないというのもつまらない。むしろ仔ガッパを我欲のために連れ去ってしまうという人間の業が強調されていることに注目したい。人間のほうが悪役というめずらしい設定である。

さらに日本特撮映画による特撮はかなりがんばっていて楽しめる。しかしガッパの造形が人間に近くて不気味なだけで魅力に乏しいのは致命的。

それでもいいところを見つけるとすれば、主題歌「大巨獣ガッパ」(歌:美樹克彦)の中毒性が挙げられる。いつまでも耳に残る主題歌は秀逸。


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また、ヒロイン山本陽子の可憐さも特筆できる。山本はこんな怪獣映画に出演していることからわかるように銀幕ではあまり活躍することなく、後年テレビ時代になってブレイクする。本作は若き日の山本を堪能できる作品は貴重といえる。

総じて怪獣映画としては盛り上がりに欠けて、日活が本作でだけで怪獣映画から撤退したのも仕方ないと思わせる。ストーリーもストレートすぎて転機がない。