オールナイト《新文芸坐 昭和ガメラまつり 2018》で映画『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年、湯浅憲明監督)を鑑賞。昭和ガメラシリーズ第3作。
昭和ガメラの魅力が詰まっている一本。本作で昭和ガメラのスタイルが確立されたと言える。好みは分かれるが、子どもが映画を仕切る「これぞガメラ」という特徴もよく出ている。
ガメラとギャオスの対決シーンがたっぷりあり、2大怪獣の攻防戦は単純に怪獣映画として楽しい。空飛ぶガメラの相手に、同じく飛行能力を持つギャオスを敵役の据えて空中戦を演じさせるというアイデアが奏功している。
ギャオスの造形が優れているし、口から発する超音波メスの着想はとくに素晴らしい。遠隔から対象物をスパッと切るシャープな描写がいい。ヘリや自衛隊機、そして新幹線まで切りまくる。さらにガメラにも手傷を負わせ、緑色の出血を強いるシーンは、出血を嫌った東映ゴジラにはなかった映像表現で新鮮味がある。
前作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』に比べドラマパートが凡庸なのは残念だが、その分特撮シーンがよいので、これはこれでいいのだろう。
しかし回転展望レストランにギャオスを縛り付けて、グルグル回すという謎の作戦はいかがなものだろう。当時の子どもは喜んだのだろうか。昭和ガメラはシリアス路線ではなく、ファンタジーだからと言われるとそうかなと思うが、あらためて見るとあまりにバカバカしい。
『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス 』予告篇+『ガメラ大怪獣空中決戦』 特報&予告篇
この映画の魅力は人気怪獣ギャオスに尽きるだろう。金子修介監督の平成ガメラ三部作の第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)でも、ガメラとギャオスの空中戦が取り上げられている。これからも昭和ガメラシリーズのなかで最もポピュラーな怪獣として記憶されるだろう。