退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(1968) / 昭和ガメラ第4作。今度の敵は宇宙からの侵略者だ!

オールナイト《新文芸坐 昭和ガメラまつり 2018》で映画『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(1968年、湯浅憲明監督)を鑑賞。昭和ガメラシリーズ第4作。この映画からガメラは停滞期と言ってよいだろう。公開同時に興行的に成功したかどうかは別にして、大人の鑑賞には耐えられなくなってきている。子どものためのガメラ

地球の植民地化を企むバイラス星人が、侵略目的に宇宙船で来襲する。途中宇宙空間でガメラと遭遇し交戦に至るがあっさり撃破されてしまう。続いて飛来した宇宙船2号は、ガメラを地球侵略の最大の障害と位置づけ、その排除を目的とするが……。

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バイラス星人の宇宙船の外観や内部のデザインはなかなかカッコイいいが、なにはともあれ本作は素人目にも予算削減の影響が見て取れる。予算の制約により、都市部のセットを用意することができないのか舞台は茅ヶ崎あたりの海岸で安直に済ましてしまうし、バイラス星人がガメラの記憶を分析するという口実で、前三作のストックフィルムを延々と見せられる。

怪獣映画では「使い回し」はつきものとは言え、本作はあまりにも流用映像が多すぎる。久しぶりにガメラを見る場合には寛容でいられるかもしれないが、こっちはオールナイトで第1作から順番に見てきて第4作にたどり着いている。「さっきみた」という映像が延々と続くのは閉口した。今回上映されたのはアメリカでのテレビ放映の条件を満たすため、国内版よりさらに流用映像を長めに伸ばしたものだったようだ(上映時間90分)。

また本作でもガメラの文法に則って、「子ども」が大活躍する。しかも海外ビジネスを考慮してか正夫とジムの二人組。子どもは大コーフンかもしれないが、どちらかというと子ども嫌いの私にとっては「ウザい」だけだった。例によって子どもが身勝手な行動をして周りに迷惑かけまくるし、こいつらいい加減しろといいたくなる。

あと極めつけは巨大化してガメラと戦うバイラス星人が、イカの出来損ないみたいでお世辞にもカッコイいいとは言えないことだ。どうにかならならなかったのか。宇宙船の意匠が優れていただけに「どうしてこうなった」と言いたくなる。

さらにイケてないのは、バイラス星人がバカすぎること。星間飛行できる宇宙船をつくれる高度な科学技術を有しているはずの種族があまりにもバカすぎてげんなりする。例えば、ガメラが子ども好きだから、子どもを人質に取ろうという作戦がひどい。それに呼応して国連が降伏しようとするのもひどいが……。およそバイラス星人は高度な知能を持っているようには思えない。宇宙人を出すなら知性を感じさせてほしいところだ。

あと多少余談になるが、カブスカウト指導者として渥美マリが端役で出演していることに注目したい。本作は、のちに「軟体動物シリーズ」で男性たちから熱い視線を集める彼女のデビュー作でもある。もちろん本作にはセクシーシーンはありません。念のため。

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