「皇位継承問題」をマンガでわかりやすく解説した本。原作は青山繁晴、作画は ヒロカネプロダクション。紙幅の半分程度がマンガ、残りは解説と資料集という構成。いろいろな気付きがあった。
マンガは女子高生・あかりが時空を超えて旅をして、仁徳天皇や8人の女性天皇たちに会うという壮大なストーリー。この旅を通して、天皇とは何か、皇位継承はどうあるべきかという問題に正面から論じている。マンガの作画が固い気がするが、さすがに萌というわけにはいかないので仕方ない。
日本は立憲君主制であるのもかかわらず、学校では天皇制についてはほとんど教えられない。いまだに女系天皇と女性天皇の違いが分からない人が多い。義務教育で天皇や皇室についてきちんと教えれていない状態が、日本が独立を回復したあとも長い間放置されているのは驚きだ。
「皇位継承問題」に注目が集まるのは新しい話でない。小泉内閣当時、皇統の危機が迫っていると焦ったことがあったようだが、結局悠仁親王殿下が誕生したことにより、問題は先送りになった。
岸田政権においても、今月「安定的な皇位継承を議論する有識者会議」の答申を受けて、報告書を国会に提出したが、国会で活発な議論が展開する気配はまったくない。またまた先送りである。
悠仁親王殿下が健在である間が、すぐに皇統が絶えるということはないが、中長期的にはこのまま問題を先送りにしていれば、いずれ破綻することは明らかである。
まあ「天皇制とか要らなくね」という意見があってもいいが、せめてこの本を読んでみてからにしてほしいものだ。旧宮家復帰に復帰してもらうにしても、このまま共和制に移行するにしても、きちんと国会で議論して結論を出してほしい。
そうは言っても、政権の立場からは「皇位継承問題」を政局にしたくない気持ちもわからなくはないが、放置して済む問題ではあるまい。