尾身会長が2日、国会答弁で「今の状況で五輪開催は普通はない」との認識を示したことが波紋を呼んでいる。
これを受けて田村憲久厚生労働相は4日の閣議後記者会見で「参考にするものは取り入れていくが、自主的な研究の成果の発表だと受け止める」と述べて炎上して、世間の批判を招いた。
この慇懃無礼な発言について8日、田村厚労相は「誤解を招いた」と釈明した。が、この言い訳は苦しいし、非常に見苦しい。
ことあるごとに「専門家の意見を聞いた上で判断する」とくりかえし発言していたのにもかかわらず、いざ専門家から自分たちにとって都合の悪い意見が出てくると、このような態度である。
「都合の悪い意見は自主研究だから聞く耳を持たない」と言外に言っているのも同然だ。
今後の注目ポイントは、厚労省が尾身会長の分科会に「東京五輪を強行開催することのリスク」を諮問するかどうかだろう。
尾身会長は諮問がなくても専門家としての提言をまとめるらしいが、きちんと厚労省から諮問する手続きをとるべきだろう。
そうでなければ、今回の田村厚労相による釈明はまったくの”おためごかし”ということになる。