退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

アグネス・チャンのコンセプト・アルバム「不思議の国のアグネス」を聞いてみた

1979年4月に発表されたアグネス・チャンの名作アルバム「不思議の国のアグネス」を聞いてみた。

このアルバムでは、「ガンダーラ」、「モンキー・マジック」のヒット曲で知られるゴダイゴが全面的に参加している。タイトルからわかるようにルイス・キャロルの童話「不思議の国のアリス」にインスパイアされたコンセプト・アルバムである。日本ではめずらしい企画かもしれない。

このアルバムを知ったのは、どこかの番組のゴダイゴ特集で、本アルバムに収録されている「Taking' Jabberwcky」が流れていたのがきっかけ。不思議な魅力のある曲だったので、アルバムを聞いてみた。なお、この曲の日本語版「100万人のジャバウォーキー」はシングル発売されている。


Agnes Chan 陳美齡 アグネス・チャン 100万人のJabberwocky(ジャバウォーキー)

アグネス・チャンは当時24歳。1972年に「ひなげしの花」で日本デビューして以来、「草原の輝き」「小さな恋の物語」などのヒットを連発し、ちょっと変わったアイドル歌手とみられていたが、一方でムーンライダーズ、ラストショウ、ティン・パン・アレーなど錚々たるロック系グループとコラボレーションをして、彼女の秘めた音楽的な志向を垣間見せている。

今回のゴダイゴとの出会いもその一環なのだろうが、まさにマリアージュといってよい相性の良さ。プログレッシヴ・ロック調アレンジクオリティの高い楽曲に、魅力的なヴォーカルが乗って素晴らしいアルバムに仕上がっている。ライナーノーツでは「アグネスをゲストボーカルに迎えたゴダイゴのオリジナルアルバム」と評してしたが、その表現は正鵠を射ている。

また再発されたこのアルバムには、タケカワユキヒデ秘蔵のデモテープ音源が収録されていて、「一粒で二度美味しい」2枚組となっている。オススメです。

AGNES IN WONDERLAND/不思議の国のアグネス