作曲家の筒美京平さんの訃報が届いた。「巨星墜つ」などというクリシェは使いたくないが、それがツツミストとしての私の心境である。
昭和歌謡曲の黄金期を支えたヒットメーカーであり、作品は膨大な数に及ぶ。私は初めて筒美京平の名前を知ったのは、たしか近田春夫のラジオの深夜放送だった。当時、既に巨匠というべき存在だったが、近田の歯に衣着せぬ解説が印象的だった。
近田は「オールナイトニッポン」でもパーソナリティを務めていたが、私が熱心に聞いたのはTBSラジオの「パックインミュージック」だったと思う。半年しか続かなかった番組だったが、私が受けた影響は大きかった。田舎に住んでいた学生が無理を言って進学時に上京したのも、近田が紹介する音楽シーンに憧れてという面も少なくなかった。
その後、筒美京平の作品をまとめた「筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967~1997」が出ると、すぐにリアル店舗で買って聞いてみた。下は2013年に出た新装版だが、私が買ったのは旧版だった。iPodに入れて繰り返し聞いたものである。

筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967~1997 2013Edition
- アーティスト:筒美京平
- 発売日: 2013/12/25
- メディア: CD
その後も筒美京平のコンピレーションはたくさん出ている。2012年には作曲家活動45周年を記念して次のレコードメーカー6社の共同企画として作品集が出ている。こういう企画が存命中に実現するのも、筒美京平が偉大であることの証左であろう。
またアーティストが筒美作品だけを集めてアルバムにする企画アルバムも多数リリースされている。こういたアルバムのなかに隠れた名曲を発掘できるのも楽しい。

- アーティスト:南沙織
- 発売日: 2009/08/19
- メディア: CD

GOLDEN☆BEST/平山三紀 筒美京平を歌う アンド・モア
- アーティスト:平山三紀
- 発売日: 2003/07/16
- メディア: CD

GOLDEN☆BEST limited 中原理恵 筒美京平を歌う
- アーティスト:中原理恵
- メディア: CD
筒美京平自身は表に出るタイプではなかったので、その風貌を知る人は少ないかもしれない。しかし昭和のヒット曲の多くが筒美京平の手になるものだと知れば、その功績を称賛しないではいられない。
いまAmazon Musicの「Best of 筒美京平」というプレイリストを聞きながら書いている。いしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」に始まり、最後が宇野ゆう子「サザエさん一家」に終わる全50曲。聞いていると改めてすごいと思わずにはいられない。
「昭和が本当に終わった」と思った訃報である。冥福をお祈りいたします。