大型連休のあたりでアニメ『SHIROBAKO』が一挙配信されていたので見た。同じP.A.WORKS制作作品ということで、今期の覇権アニメ『パリピ孔明』のプロモーションのようだった。
その『SHIROBAKO』に気難しい背景画の巨匠・大倉という登場人物が登場する。大倉工房の社長という設定で、主人公・宮森あおいが背景画を依頼するエピソードがあった。もちろん映画『オネアミスの翼 王立宇宙軍』『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『人狼JIN-ROH』などの美術監督を務めた小倉宏昌を念頭に置いてのキャラだ。
これを見て「そういえば画集出てたよね」と思い出して開いてみた。2004年に出版された画集なので、もう20年近く前になる。「ジブリ THE ARTシリーズ」の一冊で、このあたりにも最盛期のジブリの功績がみてとれる。
画集は大判の上質紙を使ったぜいたくな装丁で多くの背景画が収録されていて満足。意外に描き込まれていないのが特徴に思えた。
巻末に載っていた押井守監督のインタビューで「デジタル化に適応しないと今後いっしょに仕事することはないだろう」ということを述べられていた。当時ですらそういうトレンドだったのか。ちなみに『SHIROBAKO』のなかでも「大倉」は徹底したアナログ主義で絵筆を握って描いていたので、いまも小倉さんもそうなのかなと思ってしまった。
なかなか立派な画集だが、素人にはアニメ作品のなかでどうなるのか想像できない作品もあり、どうしても最終作品であるアニメ作品と見くらべたくなる。紙媒体の画集の限界も感じた。