“しばじゅん”こと柴田淳のカバーアルバムの第2弾。「おはこ」(十八番)というタイトルは柴田淳自身のカラオケの十八番せ集めたらしい。カラオケでマイクを独り占めするしばじゅんを堪能できる一枚。
- アーティスト:柴田 淳
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2019/07/24
- メディア: CD
収録曲は以下のとおり女性原曲だけでなく男性原曲をミックスした全11曲。もっとも最後の「黄昏のビギン」は、ちあきなおみのイメージだろうか。
【収録曲】
1. 魅せられて/ジュディ・オング(1979年)
2. 夢芝居/梅沢富美男(1982年)
3. つぐない/テレサ・テン(1984年)
4. メモリーグラス/堀江淳(1981年)
5. 恋/松山千春(1980年)
6. あずさ2号/狩人(1977年)
7. 石狩挽歌/北原ミレイ(1975年)
8. シルエット・ロマンス/大橋純子(1981年)
9. 遠くへ行きたい/ジェリー藤尾(1962年)
10. ラブ・イズ・オーヴァー/欧陽菲菲(1980年)
11. 黄昏のビギン/水原弘(1959年)
昭和歌謡の名曲がずらりと並んでいるが、柴田淳は1976年生まれなのでこれらの曲をリアルタイムで体験しているわけではないだろう。このような曲をカラオケ歌うとスタッフたちにウケるのだろうか。アレンジは原曲のイメージから逸脱しないように配慮されているのはいい。
正直、誰がターゲットなのかわからないアルバムだが、「おっさんホイホイ」の選曲であることは間違いない。場末のスナックのママのレパートリーと言ってもいいが、歌唱力はさすがで唸らされる。才能の無駄遣いという気もするが余興としては楽しい。
個人的には「魅せられて」、「つぐない」「シルエット・ロマンス」あたりが好みだ。一方、「夢芝居」みたいな演歌はどうなのかと小一時間問い詰めたい。場末感が半端ない。
ちなみにカバーアルバム第1弾は「COVER 70's」(2012年)というタイトルでリリースされ好評を博した。私自身もいまでもスマホに音源を入れて持ち歩いて出先に聞いている。もちろん曲の魅力もあるが、とくに彼女の声質がいい。ボーカリストとしての柴田淳の魅力が詰まっている。あれから7年も経ったと思うと時が流れるのは速い。
元々シンガーソングライターである彼女がカバーアルバムを出すことは、彼女の世界観と相容れない部分もありリスキーにも思える。カバーアルバムで新しいファンを獲得できるかもしれないが、これまでのファンの気持ちを考えると、かなりの冒険ではないだろうか。本人はどう考えているのだろうか。
もし第3弾があるとすれば、昭和のアイドル曲に挑戦してほしいというのが私の切なる願いである。