退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『宮本武蔵』(1954) / 三船敏郎主演「宮本武蔵」三部作の第1作

新文芸坐の《追悼・八千草薫 ~その可憐、薫風の如く~》という企画で、映画『宮本武蔵』(1954年、監督:稲垣浩)を鑑賞。三船敏郎主演「宮本武蔵」三部作の第1作。原作は吉川英治歴史小説。若き日の武蔵が関ヶ原の戦いから、剣の道を志して修行に出るまでを描く。

宮本武蔵 <東宝DVD名作セレクション>

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: DVD

宮本村の新免武蔵(三船敏郎)は本位田又八三國連太郎)は立身出世を夢見て関ヶ原の戦いの戦いに参加するが敗れて、伊吹山中を彷徨い歩くうちお甲と朱美(岡田茉莉子)の母娘に救われる。やがて武蔵は関所で暴れたことでお尋ね者になり追われる身となる。宮本村に陣を張った役人は村人に山狩りを命じる。寺の沢庵和尚(尾上九朗右衛門)は、又八の許嫁・お通(八千草薫)を連れて山に入る。お通の笛に連れれて出てきた武蔵を捕らえた沢庵は、大木に武蔵を吊るし上げるが……。

お馴染みのストーリーをなぞるため、どうしてもキャラクター重視になる。三船と三國のコンビもいいし、お通も清楚も目を惹いて、キャラクターを立てることには成功しているように思う。

見どころは木に吊るされた武蔵を助けるために、お通が綱を切って身をよじらせながら武蔵を降ろす場面。八千草薫の熱演が素晴らしい。魅力的なお通をつくり上げたというだけで、この映画は成功しているとも言える。八千草薫の追悼企画にはぴったりの作品。出番も多い。

それにしても例によって、武蔵は姫路城に閉じ込められて三年後、立派な武芸者然として覚醒する。どの「宮本武蔵」をみてもその間に何をやったか詳しく描かれない。三年もの間、何が武蔵を変えたのかいつもながら謎に思う。

武蔵は武者修行の旅に出る前に、街道の茶屋で働くお通にひと目会いに行きいっしょに旅に出るのかと思いきや、橋の欄干に「許してたもれ」という書き置きを残して、ひとりで旅立ってしまう。修行の旅に出るまでを描く第1部はここまで。

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