新文芸坐で映画『RBG 最強の85才』を鑑賞。アメリカ合衆国最高裁判所の女性判事であるルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg, 1933-)の人生を綴るドキュメンタリー映画。タイトルのRBGは名前の頭文字を取ったもの。併映は伝記映画『ビリーブ 未来への大逆転』だったので当日はRBG二本立てだった。
- 出版社/メーカー: ファインフィルムズ
- 発売日: 2019/12/03
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真面目につくられたドキュメンタリー映画なので、映画的な快楽とは無縁だが、いろいろ勉強になった。最高裁判事の地位や役割が日米ではまるで異なっていることがわかる。
この映画では最高裁判事の人選は国のあり方を左右するようなことを言っていたが、日本ではそれほどの影響力はないし、判事の名前をひとりでも挙げられる人はほとんどいないだろう。日本は定年制だが、アメリカは終身制で本人が死去するか自ら引退するまで地位が保障されている点も異なる。
また最高裁判事の人選が多分に政治的なのも興味深い。RGBは、1993年にクリントン大統領に連邦最高裁判事に指名されて、上院の承認を経て就任している。
判事は定年制ではないので、たまたま空席が生じたときに、時の大統領が指名した判事が長いことその地位にとどまることになる。9人いる最高裁判事たちの政治的信条が、妊娠中絶や銃規制などの重大な裁判に大きく影響を与える。まるでゲームのようだが、国のあり方を左右するとされる所以である。もっとも極端に偏った人物を大統領が指名しても上院は承認しないことも多い。
こうした司法制度はアメリカ人なら当然知っていることなのだろうが、映画のなかであまり説明されないのは外国人にはやや不親切かもしれない。
プライベートで印象に残ったのは、筋トレのシーン。大病を経験しているRGBが自らの使命を果たすためか、なるべく長く現役を続けるべく、ガチムチのトレーナーと筋トレに励んでいる姿がちょっとかわいい。
またハーバード大のロースクールの同窓の夫と結婚して、家庭を持ったのも素晴らしい。仕事だけでないキャリアに共感を覚えた。夫婦は娘をもうけていて、孫がインタビュアーとして映画に登場している。そんな夫も2010年になくっている。人生悲喜こもごもというべきか。