退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「東京五輪マラソンが札幌開催」に疑問に思ったこと5つ

東京オリンピックのマラソン競歩の会場を札幌に移すことが決まった(らしい)。「らしい」というのは、IOCバッハ会長が"has decided"とスピーチしていたからだ。今月中に関係者が会合を持つ予定だが、すでにマラソンの札幌開催は決定的だろう。

一都民の私としては、そもそも五輪招致に反対だった。戦後復興とか高度成長期を名目に掲げていた60年代ならわかるが、いまの時代に五輪とかバカじゃないかと思った。東京都が招致に動くなら、せめて住民投票を実施位して民意を問うべきだったろう。

石原都政時代に一度招致に失敗したときは喝采したものだが、石原の腰巾着だった猪瀬知事の時代に東京五輪の招致に成功した。やれやれ。

それでも東京五輪をやるならちゃんとやれと思ったが、新国立競技場の建て替えでもケチがついて迷走を続けた。コンパクト五輪を謳っていたにもかかわらず、実態の競技会場は当初の計画と大きく異なる事態となった。だれの責任なのか。

極めつけは、今回のマラソンの札幌開催(案)である。ここまでくると東京オリンピックとは呼べない。

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以下、「東京五輪ラソンが札幌開催」で疑問に思ったことを列挙しておく。

最初から真夏の東京が暑いことはわかっていたのでは?

まず疑問に思うのは、招致の段階で8月の東京が暑いことはわかっていたはず。プレゼンでは「アスリートにとって最適の環境」とかなんとか美辞麗句が並んでいたかもしれないが、気象データを見れば専門家には一目瞭然だったはず。

にもかかわらず、なぜ最初から無理だということにならなかったのか。IOCも東京が過酷な環境だと事前にわかったうえで開催を決めたはずです。いまさらちゃぶ台返しするのは納得がいかない。

なぜ土壇場であるこの時期に会場変更なのか?

すでに開幕まで1年を切った時点での変更が疑問だ。すでにチケット販売も始まり、東京五輪とほぼ同じコースで予選も行われた。たいへんなインパクトがともなう会場変更となった。

またアスリート・ファーストと言うが、出場予定選手のなかには暑さ対策を含めた調整をしているはず。いまごろ会場変更するのが本当にアスリートのためなのかも疑問だ。

なぜ東京近郊でなくて札幌なのか?

百歩譲って、なるほど東京都心は暑すぎるかもしれない。しかし、なぜ一足とびに海の彼方の札幌開催になるのか。せめて東京の避暑地である、軽井沢や箱根などの首都圏近郊の開催を検討するべきだろう。

オリンピックのクライマックとも言える、マラソンが札幌開催とかもう「東京オリンピック」とは言えない。いまさらだが五輪をまるごと返上したほうがいいとさえ思える。

なぜ東京都は蚊帳の外なのか?

いちばん驚いたのは、この重大な会場変更の決定を小池都知事が知らなかったということ。オリンピックの運営はIOCが責任を負うという立て付けになっているにしても、事前の根回しは必要ではないか。

運営委員までは話が来ていたのに東京都には知らせない。どういう事情があったのか。小池都知事が意図的に蚊帳の外に置かれてとしか思えない。さすがの小池都知事も不快感を隠そうとしなかったのは当然と言える。

札幌開始への変更の費用負担はどこが?

棚ぼたといえる五輪マラソンの会場のオファーを受けた、秋元札幌市長は「大変ありがたい」とコメントしていたが、札幌市に五輪対策の予算はあるのだろうか。簡単に喜んでいる場合ではないと思うのだが……。すでに国が費用負担することで裏で話がついているのだろうか。

いずれにしても会場変更にともなう費用はどこが負担するのかという疑問は残る。さすがに東京都は一円たりとも出したくないだろう。いったいどこに落とし所を見つけるのか。

まとめ

最初から胡散臭いと思っていた東京五輪はいよいよ混迷の度を深めてきた。男子マラソンのあとの閉会式という流れは、オリンピックの華である。そのマラソンを開催都市で行えないのは前代未聞。

ラソンがないオリンピックなんて、「イチゴのないショートケーキ」「肉のない牛丼」ぐらいの価値しかない。そんなものに多額の都税を注ぎ込んでいいのだろうか。いまから五輪返上はさすがに難しいが、小池都知事が激怒して大暴れすればまだ可能性はあるかもしれない。

いずれにしても、このテイタラクの顛末を都民にきちんと説明をしてほしい。

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