上野の東京都美術館で開催中の「クリムト展 ウィーンと日本 1900」に行ってきました。
19世紀末にウィーンで活躍したグスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862-1918)の画業を、同時代に活躍した画家の作品とあわせて味わうという展覧会です。
目玉はなんといっても「黄金様式」で知られるクリムトの代表作のひとつ《ユディトⅠ》です。今回のポスターやチケットにも使われています。同じスペースに展示されていた《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》もよかったです。一度は実物を見ておくべき作品でしょう。
ほかにクリムトが好んだという正方形のカンバスに描いた作品群が印象的でした。インスタグラムを先取りというわけでもないでしょうが、モダンな感じです。
クリムトが世を去ったのは1918年。ちょうどハプスブルク家が皇位を失った年と同じです。世界史では絶対に覚えておかないといけない年号です。クリムトとの関係において因縁めいたものを感じますが、帝国滅亡などの政治的転換点にからめた展示は見当たらなかったようです。ちなみにクリムトの弟子ともいうべきエゴン・シーレ(Egon Schiele)が亡くなったのも同じ年です。
展覧会はなかなか楽しめましたが、東京都美術館の展覧会は周囲になる国立美術館の展覧会にくらべて薄味な感じが否めません。今回もたしかに《ユディトⅠ》は目玉になりうる作品でしょうが、そのほかの作品が弱い。それを企画で補う工夫も感じられません。世紀末ウィーンやクリムトの生涯にフォーカスするなどの構成を期待していましが残念でした。
さらに館内の尋常ではない混雑ぶりにも閉口しました。ぎゅうぎゅうです。金曜日だけでなく平日は毎日遅くまで開館してほしい。やけに混んでるなと思ったら学生は無料だったと知ってびっくり。学生無料の期間は避けるべきでした。情弱なのが悪いのでしょうか。やれやれ。