退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

アルチンボルド展 @国立西洋美術館

上野の国立西洋美術館で開催中の「アルチンボルド展」に行ってきました。夏休みは避けようと思っていたらいつの間にか会期終了間近になっていました。

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奇想の宮廷画家・ジュゼッペ・アルチンボルド (Giuseppe Arcimboldo, 1526-1593)は、イタリア・ミラノ生まれの画家で、ハプスブルク家の宮廷で活躍しました。果物や野菜、魚などを組み合わせた、奇妙な人物画を特徴とした画家として、16世紀、ハプスブルク家の君主に愛されていました。

決して芸術の本流にいたとは言えないので、まさか彼の展覧会が東京で開催されるとは正直驚きました。謎絵のような寓話的な肖像画は、20世紀のシュルレアリスム以後の芸術家にも大きな影響を与えました。今回の展示でも、とても16世紀に描かれたとは思えないほど新鮮な印象を受けました。

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今回の目玉は、やはり彼の代表作である連作『四季』でしょう。《春》《夏》《秋》《冬》が一堂に展示されています。まさか実物を鑑賞できるとは思いませんでした。

これと合わせて展示されていて連作『四大元素』も必見です。当時、世界を構成する四大元素と考えられていた《空気》《火》《土》《水》から構成されています。『四季』よりますます複雑にモティーフが組み合わせれていて、技巧的な作品になっています。

実はこの『四大元素』は、『四季』と組み合わせることができるように構想されています。これは展示会で初めて知りました。例えば、《水》と《冬》がペアという具合です。本物の連作の展示スペースの近くに、2つの連作の拡大コピーがそれぞれのペアを向かい合わせに配置して展示されていましたが、これは面白い趣向でした。拡大コピーに近づくいて細部をチェックできるのもよかったです。

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もうすぐ会期終了ですがオススメの展示会です。また「アルチンボルド展」のチケットで常設展示を無料で鑑賞できるので、併せてル・コルビュジエの芸術空間に触れるのもよいでしょう。時間に余裕を持って出かけましょう。

アルチンボルド (ニューベーシック) (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ)