退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『エロティックな関係』(1992) / オールフランスロケでもダメなものはダメ

新文芸坐の《追悼 内田裕也 スクリーン上のロックンロール》という追悼企画で、映画『エロチックな関係』(1992年、監督:若松孝二)を鑑賞。内田がかつて出演した『エロチックな関係』(1978年)をパリに舞台を移してリメイク。

宮沢りえビートたけしをキャスティングしてフランスまで連れて行ったのは、内田のプロデューサーとしての手腕だったのだろうか。とくに宮沢は当時20歳手前ぐらい、前年ヌード写真集『Santa Fe』を大ヒットさせて、当時まさに旬の女優だった。

「りえがいちばんキレイな瞬間を閉じ込めたいと思ったんだ」と内田は語ったそうだが、フランスロケでパリの風景ともに若い宮沢の姿をフィルムに収めた功績は大きい。サブマシンガンを宮沢がぶっ放すあたりもちょっといい。


Les Liaisons Erotiques 「エロティックな関係」 - 予告編 - Trailer

しかし肝心の映画として出来は別。脚本がグダグダだし全体としてやっつけ仕事の感は拭えない。オリジナルの『エロチックな関係』の方が、低予算ながらオシャレなハードボイルド映画で面白い。

役者としての内田は相変わらずというか、14年前のオリジナルとあまり変わっていない。リアクションが薄いのが持ち味とも言えるが、出番が多いと段々に退屈になってくるのが難点。もっと宮沢りえのアイドル映画として大胆に脚本を書き換えたほうがよかったのではないか。

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また冒頭、日本批判をして当時話題になった仏首相クレッソン女史のくだらないパロディで始まるのも特徴的だ。「日本人はうさぎ小屋に住んでいる」と公式の場で発言して外交問題になったことをことを覚えているだろうか。こうした時事ネタは古びて感じたが、内田はこういうのが好きだったんだろうなと思わせる。

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