いつものひろゆき氏の本だが、今回は不思議な読書体験だった。それは読んでいるさなかの28日に登戸で「川崎通り魔事件」が発生したからだ。
- 作者:ひろゆき(西村博之)
- 発売日: 2019/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
「10年以内に日本の若者が暴動を始める!?」という予測が、本書の「はじめに」に載っている。その後、途中まで読んだところで、例の通り魔事件を知った。当初、犯人情報は報じられていなかったため、「ついにひろゆきの言うとおりになったか」と思った。が、犯人は51歳男性だったことは報じられました。およそ若者とは言えない。
その後、ハズレだったかと思いながら読み進めていくと、今度は「キモくて金のないおっさん問題」(p.166)という項目があった。「こっちか!」というわけで、事件の重大性と相まって読書中にこれまでにない体験をした。
この本は、従来のひろゆき氏の本と同じくテキトーに話したことをライターがまとめたものだ。特定の分野の専門家でもない筆者が思いつきを語っているだけ。だが、そこがいい。
とくに第4章の日本が直面している問題に対して問題解決のメソッドを提示する思考実験は面白い。いずれも実現可能性は乏しいだろうが突拍子もない解決策でもいろいろな角度から考えることは意味がある。扱っている問題を列挙する。
- 少子化問題→「子どもを産んだら1000万円支給」
- キモくて金のないおっさん問題→“無敵の人”にはウサギを配れ
- 高等教育無償化問題→優秀でない子にこそ教育は必要
- 大学劣化問題→就職予備校型と研究型に分ける
- 移民問題→移民受け入れよりも機械化の技術に力を入れたほうが得
- 貧困問題→ベーシックインカムで国民全員に月7万円配る
- 待機児童問題→保育園への補助金を廃止して、育児世帯に支給
最後の待機児童問題の対処は「バウチャー方式」に近い。以前、私もなぜこれをやらないのかと思っていたことがあるが、専門家が否定していのを思い出した。
ひろゆき氏はフランスに移住している。そのため海外生活を通じて日本の問題点がより明確になっているように感じた。この本を読むかぎり、タイトルどおり「日本に未来はない」のは疑いがない。そろそろ若い世代は、ひろゆき氏みたいに海外に本拠地を移すことを考えるべきかもしれない。私は逃げ切りを狙うけどね!