退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【訃報】西城秀樹さん死去

歌手の西城秀樹さんの死去が報じられた。63歳だった。郷ひろみ野口五郎とともに、「新御三家」のひとりとして昭和歌謡史に大きな足跡を残した巨星である。

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1972年「恋する季節」でデビュー。その後、「情熱の嵐」がヒットし、「ちぎれた愛」「愛の十字架」でオリコンで第1位を獲得した。さらに「激しい恋」「傷だらけのローラ」「ギャランドゥ」など数々のヒット曲を連発し、人気スターとして活躍した。

【EP】1973年 西城秀樹「情熱の嵐/夏の日の出来事」【検:音飛無】

当時、子どもながら歌が上手い人だなぁと思ったものだが、いまでも稀代の男性ボーカリストだと思う。あとになって聞いても抜群の歌唱力だし、独特のマイクアクションもカッコよかった。まさに昭和歌謡のアイドルだった。以前、雑誌「MUSIC MAZAGINE」誌(2007年12月号)で「帰ってこいよ、歌謡曲」という特集があったが、そのときの表紙がヒデキだった。歌謡曲を代表する歌手と言えよう。

MUSIC MAGAZINE (ミュージックマガジン) 2007年 12月号 [雑誌]

また歌手だけでなく俳優としての実績も見逃せない。久世光彦の演出による伝説のホームドラマ寺内貫太郎一家』(1974年)への出演が印象に残る。ヒデキは寺内家の長男で、父親役の小林亜星と何度ともなく衝突していたのを思い出す。子どもだったので、「この家族はいつもケンカしているな」ぐらいにしか思っていなかったが、後で見ると向田邦子の脚本が冴えている素晴らしいホームドラマだった。今年BS12で再放送されたらしいが、見逃がしたのが惜しまれる。

映画にも主演作があるが、去年フィルムセンター(当時)で見た『愛と誠』(1974年)を挙げておきたい。早乙女愛のデビュー作でもあるが、役目そのままを芸名にしたことはよく知られている。ふたりとも鬼籍に入ってしまい時の流れを感じる。

そしてアニメに目を向けてみると、『∀ガンダム』のオープニングテーマ「ターンAターン」(1999年)を歌っていたことも思い出される。前述の『寺内貫太郎一家』で共演した作曲家・小林亜星からの推薦だったそうだ。ヒデキの歌唱力が活かされた楽曲で好きだった。ちなみに作詞の井荻麟は、総監督の富野由悠季の別名義である。

ターンAターン

ターンAターン

  • アーティスト:西城秀樹
  • 発売日: 1999/05/26
  • メディア: CD

さて最後に、どの曲でヒデキを送ろうかと考えてみた。阿久悠作詞の「ブルースカイブルー」(1978年)を選びたい。既婚女性との悲しい失恋を歌い上げる名曲。まあ人のものは何でほしくなるのが人情ですね。アイドルソングにはふさわしくないテーマの曲だが、不思議と心に残っている。

【EP】1978年 西城秀樹「ブルースカイ ブルー/アイム チャンピオン」【検:音飛無】

また昭和が遠くなりました。ご冥福をお祈りします。