退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『やっちゃ場の女』(1962) / 若尾文子主演の下町純情物語

神保町シアターの《東西対決! 輝ける〈大映〉男優の世界》で、映画『やっちゃ場の女』(1962年、木村恵吾監督)を鑑賞。 若尾文子主演。

築地の青果市場(通称、やっちゃ場)で、家出した父親(信欣三)の代わりに仲買商を切り盛りする長女・ゆき子(若尾文子)は、密かに使用人の精一(藤巻潤)を思っていた。しかし、BGの次女・早苗(叶順子)もその精一に思いを寄せていた。精一めぐる姉妹の三角関係を下町情緒に乗せて描く純情物語。当時のやっちゃ場の様子も興味深い。

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映画『やっちゃ場の女』(1962年) /(右から)藤巻潤、叶順子

ジャンパーに長靴スタイルで男勝りに忙しく働く若尾が、お見合いのため振り袖姿におめかしするとあれ不思議、さすがに美しい。そのギャップが最大の見どころか。他にも、中学生の息子と川釣りする信欣三、物干し台で花火見物する若尾と藤巻、雨中の佃の渡し船に乗る若尾など名場面が多い。

いまでは失われてしまった下町の風景をスクリーン上で愛でるのも一興。

やっちゃ場の女 [DVD]

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