退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『すかんぴんウォーク』(1984) / 吉川晃司のデビュー作。山田辰夫がいいね

神保町シアターの《生誕90年記念 ニッポンを元気にした男 植木等渡辺プロダクションの映画》という企画で、映画『すかんぴんウォーク』(1984年、監督:大森一樹)を鑑賞。

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渡辺プロの新人タレント・吉川晃司を売り出すために企画された映画。吉川の映画初主演作であり、主題歌「モニカ」もヒットして歌手デビューも果たした。男性アイドルの映画は興味はなかったが、80年代のノスタルジーに浸るために映画館まで足を運んだ。

俳優を志して上京してきた家出少年・民川裕司(吉川晃司)は、ロック歌手を目指しながら喫茶店で働く貝塚吉夫(山田辰夫)と出会い、共同生活を始める。さらに、アイドルを目指す野沢亜美(鹿取容子)を加えた3人の成功と挫折を瑞々しく描いた青春映画の佳作。

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この映画は、吉川晃司のための映画なのでそれにアレコレ言うのも野暮なのかもしれないが、オラオラ系オーラ全開でこっちが恥ずかしくなるような映画である。アイドル映画とはそういうものだろう。

冒頭、吉川が東京湾をバタフライで泳いで登場するシーンが見どころ。さらに歌手に挫折して仲間の過去をネタに毒舌パフォーマンスでのし上がっていく貝塚役の山田辰夫が強い印象を残す。山田の演技を見るだけでも映画の価値はある。さらに鹿取容子のセミヌードも登場するが、吉川との濡れ場はなし。

ちなみに公開時の同時上映作品は押井守の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』だった。滅茶苦茶な組み合わせの二本立てだったので、「うる星やつら」だけ見て帰ってきたアニメファンも多かったにちがいない。

それでも渡辺プロの仕掛けは見事に成功して、この映画で吉川は見事にスターに登り詰めるわけだが、なぜか本作のDVD発売されていない。この幻の作品を映画館で見る機会はそうそうないので貴重な機会だった。映画の出来不出来は言わぬが花。

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