退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「保守速報」が一審で敗訴、200万円の損害賠償を命じられた件で思ったこと

ネット上に差別的な投稿を集めて掲載され、名誉を傷つけられたとして、ライターの李信恵氏がまとめサイト「保守速報」を運営する男性に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。運営者に名誉毀損や差別の目的があったと認定し、200万円の支払いを命じた。

www.huffingtonpost.jp

この裁判は様々な論点を含んでいるため、判決をどの評価するかは簡単ではないが、以下のサイトに論点がよくまとめられていて参考になる。

d.hatena.ne.jp

私が注目したいのは以下の2点。

第一は「自分は転載しただけだから責任はない」という「保守速報」側の主張がこの判決では否定されたこと。この「2ちゃんねるから引用、転載だけだもん!」というよくある弁解はよく聞かれるセリフだが、これがまったく通用しないことが今回明確になった。

今回は名誉毀損や差別という深刻な事例で問答無用にアウトだろうが、そうでなくても他のサイトから引用したり転載したりした内容を適当に編集しただけのコンテンツも責任が問われることがはっきりした。「まとめサイト」や「NAVERまとめ」などへの影響も予想される。

第二は「賠償額の算定」である。判決では「被告が過激な内容のブログ記事を掲載することにより多額の収入を得るという動機まで有していたことを認めるに足りる証拠はない」としている。

被告が広告収入を目的にしていたのだろうことは明らかだと思えるが、判決ではこれを認めずに損害賠償も要求より低く抑えられている。このあたりは素人には分からないところだが、差別記事で儲けた分はそっくり原告に支払われれてもいいだろう。

また「まとめサイト」に一言いっておきたい。「まとめサイト」のなかには、役に立ったり、ほのぼのできる記事もあるので一概に排除しろとは思わない。しかし玉石混交で困るのも事実である。とくに何か調べているときに、検索結果の上位に「まとめサイト」が表示されるとウンザリすることもある。このあたりは、Google様にがんばってほしいところである。

なお被告は控訴する予定とのこと。いっそのこと最高裁まで争って判例を確定して、無責任な「まとめサイト」に警鐘を鳴らしてほしい。

justice #2