退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「Google、女性差別発言の社員を解雇」で思ったこと

ハイテク業界でエンジニアや管理職に女性が少ないのは差別ではなく、男女間の生物学上の違いによるとする社内文書を作成したソフトウェアエンジニアのジェームズ・ダモア氏が解雇された。この話題は、男性優位のシリコンバレーにおける女性の地位をめぐる議論に発展しているようだ。

www.huffingtonpost.jp

こうなるとやはり社内文書の原文が気になる。下記のサイトで抜粋と全文が入手できるのでざっくり読んでみた。

motherboard.vice.com

"Google’s Ideological Echo Chamber"(「Googleの思想的なエコーチェンバー」ぐらいか)というタイトルの10ページ程度のメモである。エコーチェンバーというバズワードがハイテク企業らしい。

このメモには具体的なデータは示されておらず、ダモア氏のジェンダーについての仮説と問題提起が述べられているだけで、たいしてことは言っていない。よくある問題提起に思える。

なかでちょっと面白いと思ったのは、Googleは左派バイアスに偏っていて、ダモア氏のような保守的な意見を述べることが難しい雰囲気があるという指摘である。これはGoogleが信奉する「多様性」との兼ね合いはどうなるのだろうと思った。

今回の騒動にたいして、Googleの役員は「どのような意見でも共有しても安心だという企業文化は大切」であるとする一方、「その意見はGoogleの行為規範に違反する違反しなければの話だが」と線を引いている。まあ企業としては当然であろう。今回の解雇劇に関連して、CEOは「性別に関する有害な固定観念を推進することによって、職場における一線を超えた」としている。

せっかくビッグデータを持つGoogleなのだから、ダモア氏の意見に対してデータを以て反論してほしかったが、やはりGoogle社内にも歴然として男女格差があるのだろうと想像するに難くない。だとしても、今回のダモア氏の意見を許容するのは企業イメージを損ねることになるという判断だろう。

「進歩的」とされるGoogleの企業文化のなかですら、こうしたセンシティブな議論をすることに寛容でないということは肝に銘じておいた方がいいだろう。

google