退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】石川結貴『スマホ廃人』(文春新書、2017年)

スマホには強い依存性があることを指摘し、それに対し警鐘を鳴らす本。学生生活が、LINEによってがんじがらめになったり、いじめに発展したりする事例があることは広く知られているが、それ以外にも社会に広くスマホの「依存性」が蔓延してることが紹介される。

スマホ廃人 (文春新書)

スマホ廃人 (文春新書)

  • 作者:石川結貴
  • 発売日: 2017/04/20
  • メディア: 新書

まず驚いたのは、子どもをあやすためのアプリがあり、子どもがぐずるとスマホを与える親が多いのだということ。スマホが普及して間もないため、有害性を立証するエビデンスを示すことはできないが、多くの専門家が危険性を指摘しているという。素人目にも子どもに悪影響がありそうに思える状況が野放しになっているのは恐ろしい。

また高齢者にも依存性が広がっているという。離れて住む家族と連絡が取りやすいようにと、高齢者にスマホを与えたところ、あっという間にスマホに依存するようになり、ギャンブルまがいのアプリに熱中したり、詐欺サイトに騙されたりするという。スマホの危険性が社会に広く及んでいることがわかる。

スマホだけでなく依存性全般をくわしく説明している第3章はとくに興味深く読んだ。アルコールやタバコはやめれば済むが、スマホはいまや社会生活に不可欠なインフラとなっているので、簡単にやめるわけにはいかない点がやっかいだという。なるほどスマホを使うのを止められい。が、依存性のリスクとも同時に向かい合わなければならないところがむずかしい。

この本を読むと、多くの人が電車でスマホをいじっている日常の風景を見ると、この人たち大丈夫かしらん、と思えてくる。自分自身もスマホとの付き合い方を見直すきっかけにしたい。

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